資格等の概要

 代表者の資格等の概要を、以下に記します。
 ◇の右の資格等の名称(例えば”博士”)をクリックすると、説明箇所にジャンプします。 

  ◎技術支援に関連する資格等
     博士
     放射線取扱主任者

1 はじめに

 博士は、学位の最高位です。博士号を取得するには複数のルートがありますが、その一つは、大学院の「博士課程」に進学し、所定の条件を満たすことです。『大学院設置基準』の第4条によれば、「博士課程」設置の目的は、“専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養うこと”です。このように、博士には、“高度の研究能力”と“豊かな学識”が求めれれます。

2 博士号取得までの道のり

 大学院の「博士課程」(理学・工学系は3年間)に進学する場合、その前段として、修士課程が2年間あります。よって、大学院入学後・博士号取得まで原則5年を要します。また、「博士課程」を終えるまで、“博士論文”を提出し、所属する大学の審査に合格する必要があります。こうして「博士課程」で博士号を取得した者は、“課程博士”と呼ばれます。

 なお、「博士課程」に進学しなくても、優れた研究実績があれば、博士号を取得することができます。この場合、博士号取得者は“論文博士”を呼ばれます。

3 博士号の種類(専門分野)

 博士号の種類は100を超えます(※1)。対象となる領域は、人文科学、社会科学、理学、工学、医学、等、広範囲に及びます。

 なお、博士号の専門分野は、“博士”の後ろカッコ内に記載されます。

(※1)「独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構」

    『R1年度 学位に付記する専攻分野の名称一覧』


4 博士号取得者の人数

 2000年から2018年に日本において博士号を取得した者は、約30万人でした(※2)。また、2018年において、人口100万人あたりの博士号の取得者は120人でした。なお、人口100万人あたりの学士および修士の取得者は、各々4,539人(2019年)および558人(2018年)でした。

(※2)「文部科学省 科学技術・学術政策研究所」
    『科学技術指標2021』


5 博士課程修了者の進路

 令和3年度の博士課程修了者(約1.6万人)の主な進路は次の通りです(※3)

    ・民間企業・公的機関等:約34%

    ・医師・保健師等:約19%

    ・大学等教員:約16%

    ・ポスドク等:約9%

 一般には、大学やポスドクに進む者の比率が高いと思われがちですが、実際はこれらを併せても約1/4です。進路先としては、民間企業・公的研究機関等が最も多く、全体の約1/3を占めます。

(※3)「文部科学省 科学技術・学術政策局」

    『博士後期課程修了者の進路について』

6 民間企業における博士

 文部科学省の調査(※4)によると、民間企業の採用者全体に占める博士課程修了者の割合は約3~4%で推移し、必ずしも高くありません。民間企業が博士を採用しない主な2つの理由は次の通りです。

   ・必ずしも博士号を持っている必要はない。

    (企業が必要とする人材像に合えばよい。)

   ・博士人材に見合った処遇ができない。

    (企業規模が小さい程、この傾向が強い)。

 一方、博士課程修了者を採用した企業は、博士課程修了者を「ほぼ期待通り」や「期待を上回った」と評価しています。また、このような高評価の割合は、学士号取得者・修士号取得者よりも高いです。よって、博士課程修了者の採用に積極的でない民間企業が多い一方、採用された博士課程修了者は相応の成果を残していると考えられます。

 なお、民間企業に就職した博士は、博士取得の過程で得た次のような力が、業務に役立っていると認識しています。

   ・論理性や批判的思考力

   ・データ処理、活用能力

   ・自ら課題を発見し設定する力
   ・自ら仮説を構築し、検証する力

(※4)文部科学省
   「博士人材のキャリアパスに関する参考資料」

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1 はじめに

 放射線取扱主任者は、「放射性同位元素等の規制に関する法律」に基づく国家資格です。本法の目的(第1条)は、次の通りです。
 “放射性同位元素の使用、販売、賃貸、廃棄その他の取扱い、放射線発生装置の使用及び放射性同位元素又は放射線発生装置から発生した放射線によって汚染された物の廃棄その他の取扱いを規制することにより、これらによる放射線障害を防止し、及び特定放射性同位元素を防護して、公共の安全を確保すること”
 放射線取扱主任者は、同法第34条より、放射線障害の防止についての監督を行います。

 なお、「核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関する政令」によれば、“放射線”は次の通りです。

  ・α線、重陽子線、陽子線その他の重荷電粒子線

   及びβ線

  ・中性子線

  ・γ線及び特性X線

   (軌道電子捕獲に伴って発生する特性X線に限る)

  ・1MeV(※)以上のエネルギーを有する電子線

   及びX線

   (※1eV=1.60×10−19 J)

2 放射線取扱主任者の種類

 放射線取扱主任者は3種類(第1種~第3種)ありますが、「非」密封線源を取り扱うことができるのは、第1種のみです。取扱可能の範囲は第1種が最も広く、第2種、第3種の順で狭くなります。

3 放射線取扱主任者の免状の取得

 放射線取扱主任者試験の詳細は、「公益財団法人 原子力安全技術センター」のHPに記載されています。
 ここでは概要を記します。

 試験科目は以下の通りで、何れも、放射線の取扱・管理に必須の分野です(第3種の試験はありません)。

試験科目試験時間
第1種第2種
放射性同位元素等の規制に関する法律に関する課目   75分  75分
放射線取扱主任者としての実務に関する課目100分75分
物理学のうち放射線に関する課目110分3課目まとめて
120分
化学のうち放射線に関する課目110分
生物学のうち放射線に関する課目110分

 試験時間の関係上、第1種放射線取扱主任者試験は2日にわたって実施されます。一方、第2種放射線取扱主任者試験は、物理学・化学・生物学のうち放射線に関する課目が1つの試験(120分)になっているため、1日で終了します。

 また、第1種および第2種放射線取扱主任者の免状を取得するには、上記の試験に合格した上で、所定の講習の修了試験に合格する必要があります。講習の日数は下表の通りで、第1種が最も長いです。

 第1種第2種第3種
講習の日数5日3日2日

4 放射線取扱主任者の人数等

 放射線取扱主任者免状の累計は、78,822人です。内訳は、第1種、第2種、および第3種が、各々32,658人、38,135人、および8,029人です(※5)

 また、令和5年度までの10年の第1種および第2種放射線取扱主任者試験の合格率は、各々約28%および23%です(※6)

(※5)原子力規制委員会 資料
(※6)原子力安全技術センター 受験者等の統計

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中小企業診断士

1 はじめに

 中小企業診断士(以下、診断士)は、主として中小企業に対し、経営上の診断・助言を行う専門家です。また、経営コンサルタントとしては、唯一の国家資格です。よって、診断士は、経営コンサルタントとして一定以上の水準にあると認識されています。
 なお、“経営コンサルタント”と自ら称することに何ら障害はありません。しかしながら、「中小企業診断士」と名乗るためには、下記の試験に合格などした上で、登録が必要です。また、登録の維持のためには、5年ごとに更新する必要があります。

2 診断士の活動

 「一般社団法人 中小企業診断協会」が令和2年11月に実施した診断士を対象としたアンケートによると、診断士の主な活動分野は以下の通り、多岐にわたっています。

  ・経営企画・戦略立案

  ・経営全般

  ・販売・マーケティング

  ・財務

  ・情報化・IT化

  ・人事・労務管理

  ・事業再生

  ・生産管理

  ・事業承継・M&A

  ・創業支援

3 診断士の登録

 診断士試験については、「一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会」のHPに記載されています。以下では概略を記します。

 診断士として登録するには、3つの関門があります。

   ①1次試験(マークシート:2日間)

   ②2次試験(筆記試験および口述試験:各1日)

   ③実務補習(合計15日)

 原則として、①②は年1回、③は年2回実施されます。


①1次試験

 受験科目は次の7つです。これらは、診断士として活動するにあたり深い理解が求められる分野です。

  ・経済学・経済政策

  ・財務・会計

  ・企業経営理論

  ・運営管理

  ・経営法務

  ・経営情報システム

  ・中小企業経営・政策

 合格基準は、原則として、各科目4割以上かつ合計6割以上です。


②2次試験

 筆記試験の受験科目は、以下の4つの「中小企業の診断及び助言に関する実務の事例」です。これらは、診断士の活動の対象となる代表的なテーマです。

   Ⅰ:組織・人事

   Ⅱ:マーケティング・流通

   Ⅲ:生産・技術

   Ⅳ:財務・会計


 合格基準は、各事例4割以上かつ合計6割以上です。

 筆記試験に合格すると、口述試験を受験することができます。口述試験では、試験管の口頭による質問に対し、受験者が口頭で答えます。

 なお、R5年までの10年の合格率(※7)を平均すると、1次試験:28.0%、2次試験:19.3%です。単純計算(28.0%×19.3%)では、1次および2次試験の合格率は5.40%です。

(※7)日本中小企業診断士協会連合会


③実務補習

 診断士登録の最後の関門は、実務補習です。

 実務補習においては、合格者6名前後がグループを形成し(グループの割り振りは事前に決められています)、実際に中小企業の診断・助言を行います。各グループには相応の診断士の先生が付き、5日間指導します。大まかなスケジュールは次の通りです。

  ・初日 中小企業訪問の上、ヒアリング

  ・2、3、4日目 グループで報告書を作成

  ・5日目 当該中小企業を訪問し、プレゼン

 1社目の実務補習が終わるとグループは解散し、2社目は新しいメンバーで臨みます(指導の先生も変わります)。同様に3社目の実務補習を行い、合計15日(5日×3社)の実務を体験します。

4 診断士の人数

 平成28 年度末の中小企業診断士総登録者数は25,746人です(※8)。登録者は年々増加しているため、現時点では3万人弱と推定されます。

(※8)「企業内診断士の実態調査」

   (関西外国語大学、川村 悟、平成30年)


5 補足

 代表者の認識では、診断士の認知度は高くありません(独占業務が少ないことも一因と思われます)。しかしながら、「仕事に役立っている資格」で第1位になったことがあります(日本経済新聞 2014年1月7日)。また、AIによる代替えの可能性が低い資格と言われています(日経新聞2017年9月25日)。

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◇ 知的財産管理技能士

1 はじめに

 知的財産管理技能士(以下、知財技能士)は、“技能検定”の一つである知的財産管理技能検定に合格した者です。知的財産管理検定は、労働厚生大臣が指定した「一般社団法人 知的財産教育協会」により実施されます。
 なお、“技能検定”とは、働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度(厚生労働省管轄)で、知財技能士の他、ファイナンシャル・プランニング、機械加工、建築大工やなど全部で132職種の試験があります。

2 知財技能士に求められる技能

 『知的財産基本法』第2条によると、「知的財産」は次の通りです。

 “この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。”

 知財技能士は、知的財産の取得、活用、等について、経営的な視点から管理することも求められます。よって、知的財産の関連法規(海外を含む)だけでなく、知財ポートフォリオの分析、IPランドスケープの活用、等が必要です。

 なお、知的財産としては産業財産権(特許権、実用新案権、意匠県、商標権)が取り上げられることが多いですが、知的財産管理技能検定においては、著作権も重視されます。

3 知財技能士の種類

 知財技能士には、1級、2級、3級があり、必要とされる習得レベルが異なります。民間企業の職位との相関としては、概ね、1級が担当課長・部長(知財スキル標準(※9)のレベル3)、2級が主任(同レベル2)、3級が担当者(同レベル1)に相当します。

(※9)特許庁HP知財人材スキル標準(version 2.0)

 なお、1級知財技能士は、次の3つの専門業務に分かれています。

    ・特許専門業務

    ・コンテンツ専門業務(著作関連)

    ・ブランド専門業務(商標関連)


4 知的財産管理技能検定の概要

 知的財産管理技能検定の詳細は、一般社団法人知的財産教育協会のHPに詳しく紹介されています。ここでは概要を記します。

 試験は年に3回(3月、7月、11月)に実施されます。

 各回では、2級・3級の学科試験(マークシート)・実技試験(記述)が実施されます(基本的に、1年に3回受験のチャンスがあります)。3級・2級の取得には、学科試験・実技試験の両方に合格する必要があります。

 1級については、例えば特許専門業務の場合、11月に学科試験(マークシート)が実施され、その合格者のみが、次回(翌年3月)の実技試験(記述および口述)を受験することができます。同様に、ブランド専門業務の学科試験および実技試験は、3月および7月に、コンテンツ専門業務の学科試験および実技試験は、7月および11月に実施されます。このように、1級の受験の機会は、年1回です。


5 知的財産技能検定の合格率および技能者数

 直近3年(第40~48回)の合格率(%)は次の通りです(※10)

1級2級3級
特許コンテンツブランド
学科学科実技学科実技実技学科実技学科実技
11.677.05.253.211.181.445.740.068.469.3

(※10)知的財産管理技能検定 実施データ

 1級の学科および実技の凡その合格率は、各々5~10%および50~80%です。また、2級および3級の合格率(実技、学科とも)は、各々40~45%および70%弱です。このように、知的財産管理技能検定においては、1級の学科試験の難度が高いことが分かります。

 また、2024年8月現在の技能者数(総計)は次の通りです(※11)

 1級2級3級
特許コンテンツブランド
2,02743732645,65290,383

(※11)知的財産管理技能士検定 実施データ


6 補足

 「特許行政年次報告書2024年版」の第1部・第3章(中小企業・地域における知的財産活動)によると、中小企業の産業財産権の出願件数①と全体(中小企業+大企業)に占める出願割合②は、次の通りです。

知的財産権中小企業全出願件数(注)
出願件数…①出願割合…②
特許40,22117.6%229千
実用新案1,51953.0%3千
意匠8,42840.5%21千
商標72,05158.9%122千

(注)①÷②から計算した凡その件数(100の位を四捨五入)。①②共、内国民。

 上表から、中小企業の出願件数は商標、特許の順に多く、両者で中小企業による出願の9割以上を占めます。全出願件数(中小企業+大企業)としては、特許、商標の順になりますが、両者で9割以上を占めており、特許および商標の重要性は変わりません。

 なお、「令和3年経済センサス」によると、日本の企業(約340万社)の99.7%は中小企業です。この割合と上表(中小企業の出願割合②)を考え併せると、中小企業による知的財産権(特に特許権)の出願の割合は、相対的に低いです。

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◇ ファイナンシャル・プランナー

1 はじめに

 ファイナンシャル・プランナー(以下、FP)は、“顧客の家族構成をはじめ、収入・支出の内容、資産・負債、保険などあらゆるデータを集め、要望や希望・目標を聞き、現状を分析した上で、それに基づいて顧客のライフプラン上の目標を達成するために、必要に応じて弁護士、税理士、保険・不動産などの専門家の協力を得ながら、貯蓄計画、保険・投資計画、税金対応などの包括的な資産設計(ファイナンシャル・プランニング)を立案し、その実行を手助けしていく専門家”です。

 上記は、日本FP協会発行の『FP総論(第10版)』による説明です。一方、日本FP協会のHPには、「FP(ファイナンシャル・プランナー)は夢の実現をお手伝いする“家計のホームドクター”®です。」と記されています。

2 FPに求められる知識

 FPには、以下の6分野の知識が求められます。

  ・ライフプランニングと資金計画

  ・リスク管理(生命保険等)

  ・金融資産運用(預貯金、株式等)

  ・タックスプランニング
   (所得税、法人税、消費税、等)

  ・不動産

  ・相続・事業承継


3 資格の種類

 FPには複数の資格があります。また、その体系は、1~3級の技能検定の指定試験機関が2つ(日本FP協会、金融財政事情研究会(以下、“きんざい”と略す))あること、国際資格のCFP® (Certified Financial Planner)があること、等から複雑です。詳細は以下のHPに記されています。

  ・日本FP協会 FP資格取得を目指す

  ・きんざい FP技能検定の体系

 
 また、FP技能検定(1~3級)の試験制度については、以下のURLに記されています。

  ・日本FP協会 FP技能検定

  ・きんざい FP技能検定

 
 なお、FP技能検定試験では、1級の難度が最も高く、2級、3級と続きます。

【補足】AFPとCFP®

 AFPとCFP®に関しては、日本FP協会のHPに記載があります。

  ・AFP AFP資格とは?

  ・CFP® CFP®資格とは?

 このうち、AFP(Affiliated Financial Planner)は、“FPとして必要かつ十分な基礎知識を持ち、相談者に対して適切なアドバイスや提案ができるFP技能を習得した者に与えられる資格”とされています。

 CFP®(Certified Financial Planner)については、「北米、アジア、ヨーロッパ、オセアニアを中心に世界25カ国・地域(2024年2月現在)で導入されている、世界が認めるプロフェッショナルFPの証で、FPの頂点」とされています。

 なお、2023年12月現在、CFP®資格者は、全世界で223,770人です(※12)
 (※12)日本FP協会 世界のCFP®認定者数


4 FPの人数

 1級~3級のFP技能士(累計)は、次の通りです(2024年9月現在)。数値は、日本FP協会HPおよびきんざい HPから入手しました。

1級2級3級
日本FP協会 24,527 578,122 653,166
きんざい31,902592,3021,063,981


 また、2024年5月現在、AFPおよび日本国内のCFP®の資格者は、各々159,131人および26,679人です(※13)

 (※13)日本FP協会 データで見るFP資格

5 補足

 「一般社団法人 中小企業診断協会」が令和2年11月に実施した診断士を対象としたアンケートによると、21.7%の診断士がFPの資格を有しています。これは、いわゆるWライセンスとしては最も高い割合です(2位は情報処理技術者(17.6%)、3位は販売士(10.0%))。このように、FPは診断士と高い親和性があります。

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